コラム | 仕事と「服装」:大阪「ヒゲ」訴訟について考える
POST:2019.01.26
1月16日、大阪市営地下鉄の社員2名が「ヒゲを理由に人事評価を下げられたのは憲法違反である」として市への賠償等を求め提訴した問題の一審判決が下りました。
結果は、「市への慰謝料を認める」というもの。
もちろん、一審判決であり、市はこの判決に不服として控訴する方針を明らかにしています。
さて、全くの私見ではありますが「なぜヒゲがダメなのかさっぱり理解できない」というのが本音です。
ヒゲに限らず、仕事と「服装」の関わりについて思うところをつらつらと書き連ねてみることにします。
服装規程そのものはダメじゃない
個人的には「別にヒゲくらいいいじゃん」とは思いますが、そうは言っても会社や組織という集団生活において一定のルールや決まり事があるのはダメだとは思いません。
特に、専門職や衛生的な観点から服装や髪形等に一定程度の制約を設けることは何ら不思議でもありません。
例えば、工場などで安全配慮のために「制服」があるのはいいと思います。
場合によっては機械に服が巻き込まれて事故になってしまう場合などです。
また、髪形も「あまり長すぎると不衛生」だとか「異物混入につながる」といった観点から制約が発生するのはやむを得ないかと思います。
また、プロスポーツなんかのユニフォームなども「同じものを着ろ」というスポーツとしてのルールがあったりするので制約があっても仕方ないでしょう。
このように、職種や状況などを鑑みて服装規程があることは問題だとは思いません。
サラリーマンはどうなの・・・?
昨今、クールビズやウォームビズが導入され、「スーツにネクタイ」というサラリーマン像にも変化が出てきているような気がします。 IT関係の企業や外資系企業では「服装自由」というところが増えてきています。
管理人は昔から不思議でならないのですが「髪の毛短かったりスーツをカチッと着ていることで業務効率に何か影響があるのか・・・?」と思ってしまいます。
特に、学生時代野球をやっていましたが「なんでみんな坊主じゃなきゃいけない」みたいな風潮があるのか・・・??
坊主だと捕球が上手くなるとか、打率が向上するとか具体的な理由は特段見出せません。
プロ野球選手やメジャーリーガーで坊主の人をみかけることの方が珍しいのに・・・
とは言え、先述の通り「一定の制約」があることは別に問題ないと思うのです。
しかし、一般的なサラリーマン、会社員の服装や髪形等の制約は果たして何につながるのでしょうか?
管理人が個人的に経験した会社では、
・スーツは黒もしくは濃紺のみ
・ワイシャツは白。ストライプ不可
・ネクタイは華美なものは不可
・靴は黒のみ可
・クールビズなし!(半袖ワイシャツも不可)
という時代錯誤としか言いようのない会社がありました。
真夏の炎天下でも真っ黒のスーツにネクタイを締めて働くというのはほとんど地獄です。
お客様と対応するにあたって「清潔感」がある方が印象がいい。
そうは言われても、それがどのくらい影響があるのか誰もはっきりとはわからないはずです。
まして、ヒゲの有無に何か関係性があるのか??
明治時代の偉人の写真見てくださいよ。
みんなヒゲふさふさじゃないか!!
昭和の中頃くらいまではヒゲも珍しいものではなかったように思います。
恐らく、高度成長期あたりから段々と「ヒゲ禁止」みたいな流れになったのではないかと推察します。
であれば、「ヒゲ」が不潔なもの、不快なものというのはつい最近出てきた価値観でしかない訳ですよね?
もっと言うなら、スーツ着てネクタイ締めてというのも精々ここ100年くらいの新しい価値観でしょう?
もっと仕事の効率や業務改善につながる本質的な部分で議論したらどうなの??
やたら長いとか無精ヒゲだとかならともかく、きちんと手入れされてるヒゲならそれはそれでいいんじゃないかなと思う次第です。
大阪市の対応は?
さて、私見は一旦置いておいて、この判決に対する大阪市の反応は以下のようです。
「なんだこの判決。控訴する」
「身内の倶楽部じゃない。公務員組織だ。お客様の料金で成り立ち、トンネルには税金が入っている」
これらは現、大阪市長の発言。
また、交通局がひげを禁止する「身だしなみ基準」を制定した当時の市長であった橋本徹氏は「公務員組織の交通局は違法・不適切行為を繰り返していた。当時は厳格に服務規律を守らせることが第一だった」との弁です。
現市長が控訴の構えを見せているため、判決が確定するのは先になります。
しかし、21世紀、もう平成も終わりを迎えようという最中にあってたかがヒゲくらいでこの騒ぎよう・・・
何回も言いますが、理にかなっている「規程」や「制約」は問題ないと思います。
理にかなっているか否かは「業務にどう影響するのか」で考えるべきではないでしょうか?
まとめ
個人的にはヒゲも髪の色も服装も別にいいんじゃない?
という感覚です。
公序良俗に反しているとか、明らかに業務に支障が出るとかそういう場合はある程度の制約が必要になるとは思います。
しかし、「見た目」ですべてが決まる訳ではないのが人間社会というものでしょう。
もっと業務や仕事についてフォーカスした施策を出す方が社員のパフォーマンスも上がると思うんだけどなあ・・・
まず「形」から入るのは良い面もあれば良くない面もあるような気がします。
まあ、この問題については判決が確定するまでまだ時間がかかりますので、進展にも注目していきたいと思います。
以上、肌が弱くて髭剃りが苦手な管理人の私見でした!!