ビジネス | 起業を検討中の方必見!合同会社を設立するまで~第2回:設立までの流れ①~
POST:2019.04.25
何だかんだでシリーズもいよいよ佳境に入っていきます。
今回は、実際に起業するにあたっての簡単な流れを説明していきます。
(なお、管理人の実務経験上合同会社の設立の流れです。とは言え、他の法人でも大まかには同じかと思いますが・・・)
合同会社の設立と言っても、そんなに難しく考える必要はありません。
基本的には、いわゆる『5W1H』の世界です。
●何をやるのか(What,Why)
●誰とやるのか(Who)
●いつからやるのか(When)
●どこでやるのか(Where)
●いくらかけてやるのか(How much)
まずはここがクリアになれば、その先のステップまでは自動で進んでいきます!
そして、その先のステップというのが
★定款を作成する
★定款を認証させる
★資本金を準備する
★会社の印鑑を準備する
★必要書類を準備して法務局で登記する
という感じです。
定款(ていかん)って何・・・?
というのは一旦置いておいて、まずは『5W1H』の方から見ていきましょう。
自分にできることは何だろうか?~事業内容を考える~
さて、多くの起業家にとって「起業」は目的ではなく手段です。
起業・設立することが目的の法人というのは基本的にはあり得ません。
なぜなら、法人には「事業活動を行うことで世の中に貢献すること」が求められているからです。
となると、「何をするのか」という「What」の部分はとても重要になってきます。
ある意味で、この部分が一番ハードルが高いような気もします。
なぜなら、
●「やりたいこと」と「できること」は違う
●収益が出るものでないと会社は倒産してしまう
という現実が待っているからです。
「やりたいこと」と「できること」の違いは特に重要だと個人的には思っています。
もちろん、「やりたいこと」ができるのが一番ですが経験や能力、また資金面や資格・許認可といった様々な問題から「やりたいこと」の全てが叶うわけではないでしょう。
となると、今自分(たち)は何を「できるのか」という視点で考えるのはとても重要だと思います。
ビジネスの鉄則は、「小さく始めて大きく育てる」ことです。
まずは、「できること」から始めて少しずつ「やりたいこと」ができるように事業を拡大していけばいいのではないでしょうか?
では、「できること」を考えるにはどうすればいいか。
●自分の経験を振り返る
●自分の能力を鑑みる
この二つに限ります。
とにもかくにも、経験というのは最大の強みです。
これまでに培ったものは、最大限に活かすべきでしょう。
例えば、サラリーマンをやっていた方ならば、スキルや人脈は活用できるツールとなります。
「営業」をやっていた方ならその経験を、「経理」をやっていた方ならその経験を活かしていけばいいのです。
また、独学で学んだことも大いに役立つかと思います。
そういった、経験に基づいた「できること」をまずはリストアップしていきましょう。
箇条書きでもかまいません。
とにかく、頭の中を整理するためにも一度書き出してみるといいかと思います。
その経験をもとに、今度は能力面を量ります。
スタートアップはとにもかくにも資金面で苦労します。
となると、「できることはできるけれど得意ではないなあ・・・」という事業に注力している時間は取れません。
書き出した経験を、今度は「得意」「不得意」に分類してみましょう。
例えば、営業と一口にいっても多様です。
「B to B」なのか、「B to C」なのかでもやり方は変わってきます。
どのようなスタイルが自分に向いているのか、を十分に加味してください。
そうして整理された経験と能力に基づいて、「何をするのか」(事業の概要)を考えましょう。
物品の販売なのか、コンサル業なのか、飲食店なのか・・・とにかく事業の内容というのは多岐に渡っています。
自分が行うサービスの「ライバル企業」はどこなのか、その企業たちとの違いは何なのかという点はしっかりと考えた方がいいです。
事業計画を立てる
さて、何をするのかが大まかに決まったところで、より具体的な計画に落とし込んでいきましょう。
設立する企業の「資本金」と「収入の見込み」は検討しておいていいでしょう。
最初の内は、とにかくお金が出ていくばかりです。
設立するだけでもお金が必要ですし、最初の頃は基本的に顧客が少ないからです。(全くゼロという可能性すらあります。。。)
そのような場合に、どれくらいの期間で十分な収入が見込めるようになるかというのはとても大切なことです。
特に、自分一人でやるならばまだしも、従業員を雇ったりすればどうしても人件費は必要です。
お金にどれくらい余裕があるのかというのは結構神経を使います。
そうなった時に慌てて考えるよりは、設立前にしっかりと計画を立てておきましょう。
そうすれば、いざという時の安心感につながりますし、金融機関から融資をお願いするときにも慌てて作成する必要性がなくなります。
ただし、計画まで設立時に提出する必要はありません。
設立時に必要な情報は、あくまで「何をするのか」という部分だけです。
という訳で、一旦「What」の部分は終了します。
誰とやるのか
次は「Who」の部分です。
誰とやるのか。
実は、これも結構頭を悩ませるポイントです。
自分一人で何でもできるのであればいいのですが、それならばわざわざ法人を設立する意味はあまりありません。
いずれ誰かを雇うことになるのか、最初から誰かと始めるのかというのはよく考えた方がいいでしょう。
で、起業するとなるとよく言われるのが、「仲のいい人とは起業するな」という説です。
繰り返しになりますが、最初の内はどうしても資金も少ないし十分なケアもできないケースが多いです。
その上で意思決定をしていかなければならないとなると、「普段から仲がいい人」よりも「ビジネスの思考回路が近い人」を選択する方が無難でしょう。
価値観が合わない人とは長続きしないのはビジネスでもプライベートでも同じです。
長年の友人でも、いざ一緒に起業すると価値観が合わずに結局喧嘩別れ・・・というケースもよく聞きます。
逆に言えば、仲が良くてビジネスの思考回路も近ければ最高なのでは??と思ったりもします。
とにかく、余計なストレスを抱えないためにも「仲良し」という軸だけで一緒に起業するのはオススメできないということになります。
さて、誰とやるのかが決まった段階で、「役割分担」も必要となります。
合同会社であれば、「出資者=株式会社の取締役」ということになります。
出資者は、設立時の資金(資本金)を提供する人たちです。
その中にも一応ランクがありまして、一番の責任者が「代表社員」ということになります。
※株式会社と違って、「取締役」という単語は使いません。出資者は「社員」という身分です。
代表社員は複数人いても構いません。
社員全員を代表社員にすることもできます。
ただし、代表社員は一番の責任者ですので、むやみに増やすのはオススメできかねます。
複数人で起業するならば、その辺は明確にしておいた方がいいかと思います。
ちなみに、一人で設立する場合は自動的に代表社員になりますのでご安心ください。
さらに、社員という身分(株式会社で言う取締役)を選択せず、従業員という立場からサポートしてくださる方もいるでしょう。
それぞれの業務分担や役割分担は早めに決めておきましょう。
いつからやるのか
続いては、創業時期です。
これについては、いつから始めてもいいです。
株式会社と比べても定款の認証や設立時の手続きはかなりスピーディーに行えますので、一週間から10日も見ていれば設立できちゃいます。
それも見越して、いつから始めるのかを検討しましょう。
みんなの都合が合う時が一番でしょう!
ただし、設立までに準備が必要なものがいくつかあります。
そういったものを調達できる程度の余裕は見越しておきましょう。
どこでやるのか
どこでやるのかについても定款に記載が求められる事項です。
具体的な事業所の住所が決まっているとしても、「福岡県福岡市博多区〇〇」くらいまでで△丁目以降は記載しない方が無難です。
というのも、引っ越しをして住所が変わった場合、定款を変更しなければなりません。
その度に数万円かかるケースもありますので、具体的な住所までは記載しない方が無難かなと思います。
特に引っ越す予定もなければ別にいいかと思いますが笑
どこでやるのかについても事業内容に沿って行う必要があります。
飲食店など実店舗の場合は、「立地」というのはとても重要です。
集客が見込める地域でなおかつ家賃が安い・・・というのが理想ですが・・・
また、コンサル業みたいに実店舗が必ずしも求められない場合、コワーキングスペースを持っているレンタルオフィスを検討してみてはいかがでしょうか?
施設も充実していて、なおかつ結構安かったりします。
いずれにせよ、「何をやるのか」という部分と結構密接に関係してくるかと思います。
いくらかけてやるのか~資本金を準備する~
資本金。会社を設立する際に用意する資金です。
これが頭を悩ませる大きな要素となります。
一応、現在の会社法では資本金は1円からでも設立できます。
とは言え、1円しか手元になければあっという間に資金ショートするのはわかりきった話。
出資者全員でよく考えましょう。
最初の内に大きな障害となるのは人件費です。
また、実店舗型の場合、家賃といった固定費も大きなネックになります。
できれば、創業から6ヶ月くらいは十分に賄えるくらいの資本金が欲しいところ。
最初の内は予期せぬ支払いなどが続きますし、収入面もイメージ通りといかない場合が多いです。
それでも何とかやっていけるレベルの資本金は確保しなければいけません。
金融機関からの融資にしても、実績が少ない企業はなかなか相手にされません。
自己資本(自分で用意できるお金)は大いに越したことはありません。
比較的審査も緩くて金利も良心的な「日本政策金融公庫」という機関もありますが、やはり最初から借金ありきで事業を運営するのはあまりオススメできません。
とは言え、1円からでも設立は可能です。
資金のことを難しく考えすぎるとなかなか起業に踏み出せないということもあるかと思います。
最悪のケースは想定しつつも、思い切りも重要です。
まとめ
定款のことまで記載しようかと思いましたが、長くなりましたので一旦ここで今回は終了します。
次回は、「5W1H」でまとめたことを元に、具体的に「定款」に落とし込む作業を解説していきます。