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コラム | パワーハラスメント防止へ~典型的な6類型とその対応~

POST:2019.11.21

2019年11月20日に行われた労働政策審議会(厚労省の諮問機関です)において、職場におけるパワーハラスメント(以下パワハラ)の防止・対策に向け、ガイドライン案がまとめられました。

セクシャルハラスメント(以下セクハラ)と異なり、パワハラに関しては言葉そのものは普及していたもののなかなか具体的な対策の指針がなかっただけに、今後の企業の対策も含めて大きく期待したいところです。

なお、パワハラの定義や類型については従来の考え方を踏襲していますが、具体例はかなり踏み込んでおり「該当するケース」「該当しないケース」を具体的に示したのは初めての試みです。

今回は、その具体的な内容に触れつつ、職場におけるパワハラへの対策を考えてみたいと思います。

パワハラの定義とは

まず、パワハラとは何でしょうか?
現代においては日常用語になりつつある中、改めてその定義を見てみましょう。

今回の指針においては、
優越的関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で、就業環境を害すること
とあります。

これだけ読んでも大枠の定義ですのでよくわかりません。
という訳で、具体的な例を以下にて見ていきましょう。

パワハラの典型的な6類型

今回労働政策審議会でまとめられた指針には、パワハラの典型例として6つの類型を示しています。
一つずつ見ていきましょう。

1.身体的攻撃

「物を投げつける」「殴る蹴る」などのいわゆる暴力行為が対象となります。
管理人がかつて勤めていた職場でも繰り広げられていた光景ですが・・・
パワハラ云々以前に刑事罰の対象行為ですので、間違ってもしないようにしましょう。

今回の指針の中では、「誤って身体がぶつかった場合」は身体的攻撃から除外される旨が記載されています。
当然と言えば当然でしょうが、故意か過失かで揉めるケースも出てくるのでしょうか。

2.精神的攻撃

「相手の人格を否定するような言動」「長時間に渡る必要以上の叱責」などが対象です。
一方で「重大な問題行動に対して一定程度強く注意する」などが対象外。
「必要以上」や「一定程度」など何とも曖昧な表現が若干気になりますが、かなり線引きが難しい部分なので致し方ない気もします。

あまりにも激しい叱責や大勢の人の前での長時間の説教などは「パワハラ」となる可能性が高いでしょう。
また、注意の中で用いた言動によっても「パワハラ」と認定され兼ねないケースも出てくるかと思います。

重要なのは、叱責する側が感情的にならないようにすることに尽きるでしょう。

3.人間関係からの切り離し

「意に沿わない者を仕事から外し、隔離する」「特定の人を無視する」などが対象となります。
いわゆる職場いじめに該当するようなパターンですね。

少し前に話題になった某引っ越し会社さんの『シュレッダー部屋』などは典型例でしょうか。

一方で、「新規採用者の研修」など目的が明確で短期間のものについては対象外です。

4.過大な要求

「業務外の私的な雑用処理の強要」などが対象です。
業務レベルに見合っていない量や質の業務を無理やり押し付けて長時間労働を強要するような場合も対象になるかと思いますので、ご注意ください。

もちろん、「育成のため、少しレベルの高い課題を与える」などはパワハラではありません。
仕事を与える際に、「何のためにやってもらうのか」「これをクリアできればどうなるのか」など一言添えるようにすればトラブルは軽減されるかと思います。

5.過小な要求

先ほどとは逆に、「嫌がらせで仕事を与えない」場合が該当します。
『シュレッダー部屋』はこちらにも該当しそうですね。
閑職においやって自主的な退職を待つ、なんて行為は立派なパワハラとなります。

ただし、本人の能力や業務量を鑑みて「業務負担を軽減する」ことは対象外です。

6.個の侵害

「職場外の継続的な監視」「私物の写真撮影」「性的指向などの個人情報を了解を得ずに暴露する」などが対象のようです。

何となくこの類型については何だかぼやっとした印象ですが・・・

職場内のことと本人のプライベートは切り分けましょうということでしょうか。
気安く「彼氏いるの?」とか聞くのはセクハラにもなりますので、やめましょう。

一方で、「労働者への配慮を目的とした家族状況のヒアリング」などは対象外ということでまとまっています。

さて、ここまで厚労省が示した類型を見てきました。
もちろん、これらは「類型」であり「典型例」に過ぎません。
定義に照らして「労働者の就業環境を害する行為」は全般的にやってはいけませんのでご理解ください。

企業側の防止策

上述の通り、類型が示された他にも今回の指針では企業側の防止策が具体的に示されたという点も特筆すべきでしょう。

例えば、
・就業規則や服務規程などにおいてパワハラにあたる内容を明記する
・それらの規程にパワハラを行ってはいけない方針を明記する
・職場の相談窓口を設置する
・社内報やパンフレットでパワハラ防止を啓発する
・研修、講習などで周知していく

などが挙げられています。

特に、就業規則等でパワハラの防止を明確に記載させるというのはこれまでのパワハラ対策から鑑みると一歩前進している印象です。
当然、就業規則に違反した場合の罰則なども併せて策定していく必要があります。

時系列に直すと
①パワハラを就業規則等で定義する(罰則も併せて策定)
②それを周知・告知していく
③実際にパワハラが発生した場合に備え相談窓口を設ける
④もし発生した場合、規則に則り対応する

という感じになるでしょう。

言うまでもないことですが、パワハラに限らずハラスメント全般は日頃から起こらないようにしていくことが肝心です。
常に啓発をして防止に努めていくことこそが対策の一番要となる部分になるかと思います。

指針案の今後

今回労働政策審議会でまとめられた指針案については、パブリックコメントを経て年内に正式にとりまとめられる予定とのことです。
早ければ2020年6月から大企業に対してパワハラ防止法が施行される予定となっています。
多くの大企業が対応済かとは思いますが、もし細かい部分での対応がお済でない場合はお急ぎください。

中小企業については2022年4月から大企業に追随して施行される予定となっています。
ある程度の期限があるとは言え、パワハラ問題については比較的小規模な会社の方が表面化しにくい現状がありますので今から対策を進めていく方がよいかと思います。

また、今回の指針では就職活動中の学生やフリーランスなど社外に対するパワハラについても、社内と同様に禁止する方針を明確にすることが望ましいという意見が出ています。

学生や業務委託先に対しても今後は「パワハラ」と認定されるケースが増えてくるでしょう。
かなり細かい部分まで想定した総合的な対策が企業に求められていることが伺えます。
しっかりとした対応を願うばかりです。

まとめ

このように、パワハラ対策については今後本格化していきます。
一足先に対策が決まっているセクハラは根絶されたかと言えば違います。
このような指針がまとまったとしても、それは第一歩に過ぎません。

今後の労働人口の減少なども鑑みると、「いかに社員が働きやすい環境を提供するか」というのは企業の存亡をかけた取り組みとなってきます。
セクハラやパワハラはもちろん、過重労働対策や有給休暇取得など人事管理においては取るべき対策が山積しています。
一日でも早く対策を進めることが、今後の大きな経営課題となっていくのは明らかです。

この記事を読まれた企業様、経営者の皆さま、ぜひ職場環境の改善に全力を挙げていただければと思います。
また、現在パワハラで苦しんでいる方。パワハラは立派な「社会悪」です。
一人で悩まずに、声を上げてください。
もし相談相手がいなければ、この記事にコメントいただければ相談に乗ります。

一刻も早く「働くことが苦にならない社会」の実現を願っています。

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