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ビジネス | シリーズ:競争戦略 PART3 〜コア・コンピタンス経営〜

POST:2018.08.14

さて、シリーズも3回目となりました。
競争戦略について。

前回はマイケル・ポーターの理論をかいつまんだところでご紹介しました。
今回は、競争戦略論的にはある意味「真逆」な戦略立案方法についてご紹介します。

コア・コンピタンスとは

コア・コンピタンスを一言で言い表すならば、「他社にはない圧倒的な強み」です。
このコア・コンピタンス(=強み)を軸に据えて競争戦略を組み立てていこう、というのがコア・コンピタンス経営の考え方となります。

コア・コンピタンスが生まれた背景

コア・コンピタンスは1990年代、
ゲイリー・ハメルとC.K プラハラードという二人の共著によって世に送り出された理論となります。
前回ご紹介したポーターの理論が隆盛を迎えたのが80年代でしたが、ポーター理論だけでは説明がつかない、いわゆる「歪み」のようなものが浮き彫りになってきたのが90年代です。

さらっとおさらいしますが、ポーター理論は業界の収益構造を鑑みて、自社の「ポジション」を策定することが重要となってきます。
選択すべき戦略は大きく分けて3つ。コストリーダーを目指すか、差別化を目指すか、集中化を目指すかというものです。
大きく言えば、市場や業界の構造に依拠するためどちらかと言えば外部環境に大きく左右される戦略立案となります。

皆がこぞってこの理論を実行してみたものの、なかなか上手くはいかず、大規模なリストラや撤退に追い込まれる企業が続出。

何かがおかしい、となったときに登場したのがコア・コンピタンスです。

コア・コンピタンスが目指すもの

冒頭部でも述べたとおり、コア・コンピタンスは自社の「強み」を活かすことに活路を見出す戦略立案です。
例として取り上げられたのは、「ホンダのエンジン技術」や「ボルボの安全性能」など。
特に、当時のホンダのエンジンは芝刈り機からF1まで様々な分野で「エンジンと言えば!」というポジションを作り上げていました。

こういった技術は、他社が真似したくても真似できない大きな壁になることができます。
この特徴的な能力を活かすことで、10年後の顧客の期待にも応え続ける観点が重要であるというのが著者たちの主張となります。

圧倒的な強みや特徴があれば、市場は切り拓かれていく訳ですね。
そして、ある意味業界や市場の構造をも変えていく力の源にもなっていく訳で。

何よりも、こういう圧倒的な強みや技術は模倣性が低いため、自社で伝承していくことになります。
となると、自社のエンジニア達は重要な財産となるため乱発的なリストラはやりづらくなる。
無意味なリストラが横行すれば、技術者(エンジニア)達は市場に流出するため、
1 他社に技術を吸い取られる危険性が増す
2 自社の技術力が衰退する可能性が増す
となります。

非常に怖いなあと思うのが、今の日本の製造業がこうなりかけていることです。
ホンダもエンジン技術は昔ほど評判よく聞かないし、その他白物家電系の製造業は軒並み海外のライバル達にシェアを奪われていっています。

今一度、自社の「コア・コンピタンス」は何なのか、その源泉はどこにあるのかという部分をしっかりと見直して、他社に差をつける戦略を遂行していく時期にもきているのかな、という風に個人的には感じています。

まとめ

圧倒的な強みは、自社にとっては恩恵をもたらし、ライバルにとっては大きな脅威となります。

ポーター理論とコア・コンピタンスの理論は一見相容れないようにも見えますが、個人的には車の両輪のようなものかなと思っています。

古代中国の軍略家孫子は「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と述べています。
市場や業界という「彼」を知ることも、自社の強みという「己」を知ることも両方重要なんじゃないかなと感じている今日この頃です。

▼今回の記事と併せて読みたい書籍はこちら▼

競争戦略|
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