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コラム | なぜ官僚主導の「働き方改革」が成功しないのかを考える

POST:2019.09.29

週刊ダイヤモンドにて非常に興味深い記事がありました。
「有給休暇の取得率が高い都道府県ランキング」がそれです。
⇒https://diamond.jp/articles/-/215474

記事を読むと、有給休暇を10日以上取得している比率でランキングにしているようです。
男性の1位は神奈川県。女性の1位は東京都。
まあ何というか順当な気がします。

一方、ワーストはというと・・・
男性は徳島県。女性は鹿児島県だそうです。
これについても何というか・・・順当な気がします。

本年4月から「有給休暇取得」に関する規定が変わっています。
詳細は、別コラムに譲るとして、(https://createmyself.site/1499/
今回の話の主題は、「なぜ官僚主導の『働き方改革』が成功しないのか」です。

この有給休暇の取得についても、長時間労働の抑制についても、官僚(というかお上)が主導で実施しているもの。
本来なら強制力も伴っている労働基準法の絡みもあるので「守って当然」なはずですが、イマイチ浸透しきれていない気がします。

あれだけ騒がれていたのに、「プレミアムフライデー」とかもはや死語になりつつありませんか?

『働き方改革』という号令は勇ましいですが、なかなか実態が伴っていない現状。
どうすればいいのか、を考えてみましょう。

人間、「やらされる」と抵抗したくなる

従業員のマネジメントの鉄則の一つが「モチベーションを向上させて自主的に取り組むように仕向ける」こと。
人間「やらされ仕事」ほど意欲が湧かないものはありません。

経営者だって人間です。
「規則が変わったからやってくださいね」だけでやれるならとっくの昔からやってるわけです。

つまるところ、経営者から見た場合『働き方改革』を推進することに「うま味」がないと考えている方が多いのではないでしょうか?
いくら「業務が効率化された」「従業員のモチベーションが向上した」と言われても、 現時点でいっぱいいっぱいな中小企業にとってはいきなり改革を断行するのは心理的な抵抗感が強くなるのは当然でしょう。

わかりやすく助成金といった「お金」という誘因手段も用意してはいますが、手続きも煩雑で手が回っていないという経営者も多いかと思います。
そもそも、『働き方改革』をすればお金がもらえる!じゃあ取り組もう!というのでは本末転倒な気がします。

そもそも『働き方改革』に着手する余裕がない

冒頭の有給休暇取得ランキングもそうですが、改革に前向きなのは「都会」の「大企業」です。
もしくは先進的なベンチャー企業などですね。

これらの企業は、改革によって生じる一時的な混乱を収拾できるくらいの体力があるか、
そもそもの人事制度をこれから作っていくかという段階にあるか。
いずれにせよ、「余裕がある」から『改革』に着手できるということになります。

一方で、日本の企業の90%以上は中小企業が占めています。
精一杯経営している中で、従業員に対しての対応が後手に回る部分はある意味で仕方ないことかもしれません。

2020年4月からは働き方改革関連法が中小企業にも適用される予定です。
余裕がない、というのは言い訳にならなくなる現実が近づいているのは事実です。

そんな中、改革に着手しようとする企業もあります。
しかし、余裕がない中で付け焼刃的に行われる改革は恐らく混乱をきたすだけでしょう。

大企業のように改革による混乱を収拾できるような体力があるか、と言われれば厳しいと思います。
また、ベンチャー企業やスタートアップ企業と違って既に人事制度ができあがっている場合の方が多いでしょう。
後のことを考えて尻込みしてしまう経営者も多いのではないでしょうか。

法令違反に抵抗感がない層も一定数いる

悲しいことに、「決まり」や「ルール」を守らないことに抵抗感や罪悪感がないという場合もあります。
こういう企業はすでに「ブラック企業」という烙印を押されていたり、その予備軍であるということになります。

こういう企業は現時点で法令違反をしているわけですから、当然『働き方改革」などと言われてもどこ吹く風。
残念ですが、意図的な「未払い賃金」や「長時間労働」「残業隠し」「労災隠し」などが横行しているのが現実です。

今後淘汰される可能性もありますが、しばらくは生き残るでしょう。

こういう層を『改革』してこそ本来の『働き方改革』の意義ではないかと思うのですが、まだまだ時間がかかるでしょう。

結局『働き方改革』はどうすればいいのか?

ここまで、『働き方改革』がうまく進まない要因を考えてみました。
・心理的な抵抗感(やれと言われても・・・)
・物理的な余裕の有無(いっぱいいっぱいで余裕がない)
・法令違反(コンプラ違反で結構!)

大きく分けてこういう感じかなと思います。

本気で官僚主導の『働き方改革』を行うのであれば、少なくとも現時点で法令違反している企業は市場から退場させるくらいの覚悟は必要です。
全ての企業が意図的に法令違反をしている訳ではないでしょうが、是正勧告を複数回受けているような企業は残念ですが意図的でしょう。

今後国が本気であるということを示すには、まず違反者への取り締まり強化は絶対です。
考えてみたら、自動車運転の罰則強化は早いのに労働法違反に対しての対応は遅いというのは変な話です。
本来どちらも法令違反ですから。罰則強化と早期執行でまずは違反者を徹底的に取り締まる。

そして、大企業ではなく中小企業へのサポート体制を充実させるべきでしょう。
そもそも、大企業と中小企業で似たようなことを行っても同じ結果は出てきません。
まして、中小企業とひとくくりにしても実態は様々です。

中小企業に関しては取り組みやすい事項から取り組ませて、
少しずつ改革を推進するような方向でもよかったのではないかという気がします。

できることから少しずつ取り組み、結果が伴ってくれば「やらされ感」もなくなると思います。
成功体験というのは誰にとっても大きな「やる気スイッチ」ですから。

結局、
・法令違反企業を取り締まる
・猶予を持った移行期間を設けて段階的に実施するようにする
・中小企業の実態を考慮したサポート体制を設ける

こういった手順の方がよかったのかも知れません。

「論外」としか言いようがない企業に対してはともかく、真面目に経営していて「余裕がない」企業には何か救いの手があってもいいのではないか、と考えてしまうものです。

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